雨の日の散歩
今週のお題「こぼしたもの」。
私のこぼしたものは、犬の足を拭いた後の水である。それはそれは盛大にぶちまけた。
私は今イギリスに住んでいる。夏に越してきた。
我が家の犬も一緒に引っ越してきた。
10月に入ってから雨の日が多い。散歩も一苦労である。
いつもの散歩コースは、アパートの隣の住宅の間の道を抜けて、公園を一周し、行きと同じ公園までの道を通り、帰ってくる。
公園は、アスファルトの上はまだマシだが、雨のせいであちこち泥でべちょべちょであり、犬は最も汚れなさそうな道を選んで歩いてくれるわけはなく、帰宅後の犬の足は真っ黒だ。
ちなみに我が家の犬は元は白い。ウエストハイランドホワイトテリアという長い名前がついているが、まあ白い犬だ。
この白い犬を二週間に一度のシャンプーの日まで、なんとか白く保つために、あれやこれやと飼い主は努力している。
雨の日の散歩帰宅後は、水を溜めた容器に犬の手足を突っ込んで洗い、ボディ用シートで全体を拭く。
私がぶちまけたのは、この手足を洗った後の水だ。
玄関でぶちまけた。正確には私がぶちまけたのではなく、犬が蹴っ飛ばした。
犬の気持ちもわかる。綺麗にするのなんか後でいいから先に朝飯を、ということだろう。こちとら一生懸命拭こうとしているのだが、お構いなしにリビングに向かおうとする。
このやりとりをしている最中に、犬は容器を蹴っ飛ばし、水をぶちまけた。それはそれは盛大に。
我が家の犬はこのような時、「やっちまった」という顔をする。悪いことをしたというのがわかるらしい。遊んでいる最中に手をガブっと噛んでしまったりするときも同じ顔をする。
やっちまったことがわかるだけえらいもんだ。
怒ってもしょうがないので、私は怒らない。次からは蹴っ飛ばされないように、私が工夫して差し上げよう。
明日も雨である。明日もどろんこになって帰ってこよう。